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「ギリシア人の物語Ⅱ 民主政の成熟と崩壊@塩野七生」を読みました

[2017.02.16]

塩野七生氏の
ギリシア人の物語II 民主政の成熟と崩壊
を読みました。

民主制アテネの最盛期と崩壊が描かれています。

前半の主役はペリクレス、名門出身で30年以上にわたってアテネをリードし最盛期へと導きました。

歴史家ツキディデスのペリクレス時代を評した言葉として
「形は民主政体だが、実際はただ一人が支配した時代」と言うのがのっていましたが、ペリクレス自身選挙で選ばれ続けて第1人者であり続けます。

最大の武器は「言葉」で、同時代のペルシアとスパルタの王も良識派であることも幸いしデロス同盟を一大経済同盟としアテネをその盟主として繁栄に導きます。

しかしその死後は扇動者の登場もあり衆愚政(デマゴーグ)と評される時代となります。
わずか26年でペロポネソス戦役を経てバカみたいな敗北を繰り返して全面降伏へと至ってしまいます。

本を読むときになぜその本を面白く感じるのかとかあまり考えない人間なのですが、今回いろいろと考えてしまいました。

塩野七生氏の本を読んでいるときには例えば戦争の場面でも「村上海賊の娘」の時のように登場人物がしゃべってアクションを起こすなんてことはないのですが無性によく書けていてページをめくる手が止まらなくなります。

不思議だなあと思うのですが、全体像を俯瞰した眼と細部に至る理解が伝わってくるように感じました。

またよくできた人物には賛辞を送り、小物や愚者には辛辣な評価を下すなど人間を見る目が自分は好きなんだなあと思いました。

この人の「ローマ人の物語」のおかげで西洋史の中ではユリウス・カエサルこそが最大の英雄だなんて思わされてしまうようになりました。

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